みなさんは株を持ってらっしゃいますか?証券会社を介して株の取引をしている方もいらっしゃるでしょうし、親族経営の会社の株を持っている方もいらっしゃると思います。でも、もしかすると、株なんか見たことがないという方が一番多いかもしれません。
 「株券」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。株券は、株主としての地位を表す有価証券のことです。最近は、見かけることが少なくなりました。平成18年に施行された会社法により、株券不発行制度が導入されたためです。

 株式は、株式会社が設立される際に発行されます。発起人等が、株式を引き受け、会社に対してお金を払い込むことにより、株式を取得し、株主となることができます。この時に支払われたお金が、資本金と呼ばれます。
 株式という制度は、事業資金の確保を容易にするために考案されました。新たに事業を始めるには、多額の資金が必要となります。1000万円の事業資金が必要な場合に、それを一人で捻出するのは、かなり大変です。しかし、10万円ずつ、100株に分けて、出資者を募れば、参加が容易になります。株式は、社会に散在する少額資本の結集を目的とする制度なのです。
 また、株式においては、間接有限責任の原則、および譲渡の自由の原則が採用されています。間接有限責任とは、株主は出資という形で間接的に、出資額の限りで責任を負うという原則のことです。別の言い方をすれば、株主になってしまった後は、一切の義務を負いません。株主は、会社が莫大な負債を負ったとしても、債権者に対して弁済する義務を負わないのです。間接有限責任の原則は、出資のリスクを限定することで、参加を容易にすることを目的としています。
 さらに、株式は自由に譲渡できることが原則とされています。株式を売却することにより、株式を購入するときに支払った資金を、いつでも回収できるのです。株式譲渡自由の原則は、投下資本の回収と会社からの離脱を容易にすることにより、間接的に、参加を容易にすることを目的としています。
(後半に続きます)