M&Aでは、書面で交わした契約だけが譲渡の対象となるわけではなく、口頭約束や長年の業界慣習、継続した取引の中で合意があったと看なされるものなど全てが、原則として引き継がれることになります。
これらは全て事業の譲渡を受ける前に把握しておかなければなりませんので、弁護士の法務デューデリジェンスは極めて重要な位置付けとなります。
また事業の譲渡は、当事者同士での同意に基づいた株の引き渡しや代金の支払いを行えば成立するというものではありません。
- 経営者の株主としての地位に問題はないか
- 少数株主は事業の譲渡に反対する権利を有していないか
- ストックオプション等の潜在株は存在しないか
など、株式だけをとっても取引を成立させるために確認しなければならない法律上の観点は多岐にわたります。
また、社内規定で定められた残業代や就業・休業日数など、弁護士の法務デューデリジェンスを経ると思わぬ結果になることもあります。
社内規定で定め労使で合意があっても、労働基準法に違反する内容であればその規定や同意は無効になる可能性もあります。このように、当事者間の合意に関わらず強い強制力を持つ法律は強行法規と呼ばれ、弁護士の法務デューデリジェンスでは、経営者が普段思いもしないような所に存在するリスクを明るみにし、リスクを最小化する作業が行われるます。